ジギー・スターダスト及び、火星のスパイダーどもの
隆盛と墜落 by デヴィッド・ボウイ
ボウイが他界したというニュースを知ったとき、頭の中でスターマンのサビがなんとなしに鳴った。彼が死んだというより自分の星に帰って行ったほうがしっくりきた。
迎えに来たのはかつての盟友ミック・ロンソン。
などとファンタジックな気分でボウイを偲んだのだった。もう5年も前の事。
A面
五年間
魂の愛
月世界の白日夢
スターマン
イット・エイント・イージー
B面
レディ・スターダスト
スター
君の意志のままに
屈折する星屑
サフラジェット・シティ
ロックンロールの自殺者
CDの高音質も結構だがこうしてレコードで聴くと、ジギーがふたたび地球に降ってきそうな錯覚に陥る。初めて今作を耳にしたのは90年代の半ば頃、CDなので五年間からラストのボーナストラック迄ノンストップで駆け抜けて聴いた。粒ぞろいの骨太作品がそろっていて、捨て曲なしかと思ったが実は【イット・エイント・イージー】はボウイ作ではないので余り愛着がない。ファンの間でもなぜこの曲が入っているのかと疑問を持たれている。【スターマン】の後だけに箸休めだったのでしょうか。
【レディ・スターダスト】はロンソンのピアノが一貫して夜空のごとく凛と美しく、遡って聴いた【火星の生活】(前作ハンキー・ドリーに収録)のピアノパートもロンソンだと長いこと信じ込んでいた。後年、実はロンソンではなくイエスに加入するかどうかのリック・ウェイクマンが弾いていたと知り二重に驚いた。それくらいレディ・スターダストにおけるロンソンのピアニズムが見事なのだ(ギタリストなのに)ボウイの独特のバラード歌唱力によるところが大きいのは言うまでもないことにしても。
声帯模写の技巧に長けている職人気質(ポール・マッカートニーもわりとそう)なボウイの声色を楽しむにもバランスの良い盤とも言える。
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