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次回予告

編集後記

 



    覚え書き程度のものですがどうぞよろしく     


 

時節と言葉

 

二十四節気 芒種

6月6日~6月21日

七十二候

二十六候 腐れたる草蛍となる

 

   



 

最近読んだ本 and プログレ plus 

      

 

     シッダールタ 荒野のおおかみ   

           ヘルマン・ヘッセ著

 

 

ジョン・アンダーソンがシッダールタから着想を得て詩作したと伝えられるイエスのアルバム Close to the edge(邦題は危機但しヘッセの描いたシッダールタはあのお釈迦様ではなく、さまざまの境遇に抗い、時に流され、成功や失墜を経験し、歳を重ね人生の秋にようやく川へ辿り着き、そこで何かを悟った人の事なのだ。それだと何か哲学的で物語として面白そうな気がしないと敬遠したくなる所。ヘッセの作品は初期の「郷愁」中期の「デミアン」いずれもそうなのだが、作中の主人公はいつも悩んでいる。読み手にも一緒に悩んだり喜んだり哀しんだりとそれなりの気力を要する。でもそれでもなお、視えてなかったものが視えてくる(心でも眼でも)という人間のこころの成長や変化をビルドゥングスロマンとして瑞々しくかつ端麗な筆致で描かれているのが魅力なのだと。(謎の転校生デミアンの事ももっと語りたいけどここでは割愛)そこで Close to the edge の中にも「盛衰」とか「人の四季」というパートがあり興味深いフレーズがいくつか目を惹く。それらの歌詩を完全に読み解くのは無理だとしても、この小説からイエスが受けたインスピレーションの破片を拾うことくらいはできるかも知れない。まずはアルバムのオープニングSE、川のせせらぎに耳を傾けてみようと思う。

 

荒野のおおかみは前述のシッダールタから数年後に書かれた作品。主人公ハリー・ハラーは急速に進んだ社会に対して反抗心を抱きつつ物憂げな日々を過ごしている。部屋を借り、時おり外出してはひどく疲れて帰宅する様子がうかがえるものの、隣人には生活感の無い孤独な生活を送っていると思われるくらいか。しかしハリーの脳内はヘルミーネ、マリア、パブロらとの出会いによって覚醒してしまった新たな感覚にとまどい、やがて魔術劇場なる支離滅裂な幻像世界に耽溺し、彼岸の世界を彷徨うことになる。この魔術劇場の意味については読者、研究家の皆さんが既に様々の考察を述べておられるが、筆者は麻薬による幻視なのではないかとすんなり邪推。これも今まで視えなかったものが(たとえ幻でも)視えてくる物語。理性を支払って入る事のできる魔術劇場ではいくつもの扉が存在し、分裂し増殖するハリーの性格が人間将棋(チェス)の駒となって現れるのだけど、そのほかにも猟奇的な見世物小屋の如き情景が飛び交うのが印象深い。エマーソン・レイク&パーマーのアルバム恐怖の頭脳改革悪の教典♯9という組曲があるのだが、第1印象パート1、パート2を聴くといつも魔術劇場の事を思い出してしまう。歌詩はピート・シンフィールド(倉庫内のアートワーク夜話 第五夜を参照されたし)が書いたのだとか。

そもそもタイトルの悪の教典・・・原題を眺めてみればKarn evilとある。英語辞書を引いてもそんな言葉は無いのでそれっきりになっていたら、最近カーニヴァルの当て字らしいという記事にやっと納得。余談になるがプログレが失速してから10余年後、マイケル・ジャクソンのBADによって第1印象パート2での印象的なジャズ&ブルースのフレーズが通奏低音として鮮明に復元された。これがマイケル、クインシー(ジョーンズ)含め誰のアイデアなのかは筆者には知る由もないが、悪の教典から憎悪のみを見事に抽出したようなマイケルの詩作をBADの中に読み取れる気がしてならない。



 

    探偵手帖

            Page-3     ファイロ・ヴァンス

 

 

ファイロ・ヴァンスまでこの手帖に書き入れられるとは。と嘆く人もいれば、彼についての記述を待っていた人もいる。後世の探偵手帖管理者らにとって、この男は賛否両論の渦の中にあるらしい。ファンが決して少なくないヴァンスだけれど、彼を苦手とする人々は、まず性格における「あくの強さ」について行けない。友人で地方検事のマーカムは振り回されては脱力の憂き目に。とは言えマーカムが事件に煮詰まると決まってヴァンスへ相談を持ちかけるのだから仕方ない。つまりヴァンスはホームズで、マーカムはワトスン的存在なのかも。もう一人の友人で法律顧問でもあるヴァン・ダインは事件簿の記述に専念し、ヴァンスのそばに静かに控えつつ無色透明然を決め込む。いったいファイロ・ヴァンスとは何者なのか。ホームズのように探偵の代名詞となり得る人物なのだろうか。人となりを知りたい方の為に手帖のメモ欄を抜粋してみた。

 

仕事 不明。少なくとも定職には就かず、叔母から相続した資産で暮らしてゆけるのだとか。

住まい ニューヨーク、マンハッタン東38番街の屋上庭園付マンション。老執事のカーリーが家事全般を取り仕切っている。

趣味 骨董美術品及び犯罪心理学の研究。かつて馬主だった事もある。愛車はイスパノ・スイザ。嗜みとしてシガレットと酒。

性質 博学、多趣味、頭脳明晰。その一方で気まぐれ。思考や行動に幼さが現れる。朝早く起きることと歩くことが苦手。美貌の男、独身35歳。

 

というわけで、彼に何とか肩書を付けるなら「美術愛好家の素人探偵」が最適である。但しヴァン・ダインに言わせるとファイロ・ヴァンスは仮名なのだそうだ。とある分野において既に著名な人物であるが故に、そう名乗らせ秘匿せざるを得ないのだと。

マンハッタンの高級アパートにて何不自由の無い優雅な暮らしを謳歌している彼だが、周囲に林立する高層ビル群(摩天楼)を嫌悪している記述が「ベンスン殺人事件」に見られる。これには少し興味を持って読み進めると、ヴァンスという人は1930年代に生きながら二十世紀アメリカの繁栄そのものに否定的な意見を堂々と述べている事が分かる。そういった意味では社会の中の精神的なアウトサイダーと言えるかも知れない。(境遇の差こそあれヘッセにおける「荒野のおおかみ」の主人公のように)だが後期の事件簿、例えば「ガーデン殺人事件」になるとそれなりに当世の世俗に馴染んでいる様子でもある。残念なことに第二次世界大戦の勃発の年には事件簿も途絶えてしまったので、戦中戦後ヴァンスがどうなったかも不明だし正体すらもう誰も知らない。ただ生存していたにせよ、戦後さらなる巨大国家となったアメリカを彼が受け入れるとは考えにくい。ところで「ベンスン殺人事件」の中で、ヴァンスが例によって事件と関係なく「中国の美術こそ偉大である」と李竜眠(北宋の画家)を引き合いに高く評価し「対して北斎の浮世絵(=日本の美術)は浅薄」と雲泥の差を得意げに語っている。そこまでこき下ろさなくてもな~と思ったものだが、日本の古書マニアにその事を伝えると「・・・もともと肉筆画もありますが世に出回ったのは安価な版画です。版画だからこそ量産もできる、江戸時代の印刷物というか商売のチラシや包装紙として利用されたくらいなので。ご指摘の浅薄云々はごもっともですが、中国の文人画と比べられる北斎が少々気の毒ですね(苦笑)」との反応。なるほど大衆に迎合しない性質のヴァンスらしいとも言えるが、若干の大人げなさも否めない。


 

2018年夏~2019年早春 

部活&スポーツアニメ作品MEMO

 

 

多田くんは恋をしない

高校の写真部が舞台。多田くん(中村悠一)の祖父が営むレトロな喫茶店も素敵だし、和製ローマの休日と言って良い。外国の王女が身分を隠して日本に留学し写真部に入部。多田くんを始め部員らとの交流の中で写真の愉しみ、自分のやるべき事を見つけてゆく。

 

ツルネ~風舞高校弓道部

高校の弓道部が舞台。スランプから一度は弓道と距離を置いていた主人公が進学した先の高校の部活でもう一度弓を引く事になるが、なかなか不調から抜け出せずに。苦悩する彼の前に謎めいた男(浅沼晋太郎)がコーチとして現れる。

 

風が強く吹いている

かつて大学の陸上部寮だった竹青荘。今では多様な学生達が思い思いの生活を送っていたのだが、食事担当の灰二(豊永利行)がある夜俊足の下級生を拾ってきた。これで10人揃った。箱根駅伝に出場しようと住人全員に告げ強引にトレーニングを開始。当初は無謀な試みに反発していたメンバーの人生観を大きく変えてゆく。原作は三浦しをんの同名小説。脚本はテニスの王子様で海堂薫、はじめの一歩で幕之内一歩を演じていた喜安浩平が担当している。


 ここまでお読み下さり ありがとうございます
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次回予告


 次回は令和元年6月中旬に更新予定、なおブログはしばらくお休み致します。

 

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はじめまして

Gingerbread と申します

昭和四十年代女 射手座A型   札幌市在住

’70年代ロックと古い本に興味があります


編集後記


改めてLPレコードの良さ、音の厚みや温かみを懐かしく再認識中。ロッド・スチュワート「大西洋横断」のB面は白眉!(Gingerbread)




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