· 

クラシックフレーズ発見メモ

ロンドでは、ナイス時代のエマーソンがのびのびとアグレッシヴにブランデンブルク協奏曲第5番を弾いてくれている。トッカータとフーガも見え隠れする。

ELPへ引き継がれた展覧会の絵のアンコール曲だったナットロッカー 後年マーク・ボニーラらの協力を得てのライヴではくるみ割り人形金平糖の踊りから序曲へと逆流する華やかなオープニングとアウトロになだれ込むトレパックはバレエファンでELPファンならば至福の瞬間だろう。

あと浅田真央ファンもね。

チャイコフスキーと言えば、ジャスティン・ヘイワードのソロ、ソングライターのラスト曲ノストラダムスのアウトロ付近にそれらしい一節があるような気がしてよく聴くと、これもくるみ割り人形から葦笛の踊りだった。芸が細かい。

 

イエスにクラシックのフレーズを見出すのは少し難しい。とは言え組曲や楽章を均等に割ったような交響曲的な大作志向の楽曲があることは否定できない。これは音楽院出身のウェイクマンの仕事でしょうか。それに彼らの織り成すコーラスそのものが非常にクラシカルに練られている。スクワイア(聖歌)隊長とジョン・アンダーソンの持って生まれた透明度の高い美声のおかげもあるが。と思っていたらシベリアン・カートゥルの終盤に春の祭典と思しきリズムと土俗的なフレーズが。

ライヴではシベリアン・カートゥルの前奏としてストラヴィンスキーの火の鳥が流れるのが慣例だった事に納得。でもアルプス一万弱のほうが日本人としては印象深い(クラシックではないけど)

 

ビートルズは世界初のプログレとも言う向きもあるので、そこを拾うとイッツ・オール・トゥ・マッチのラストに英国バロックのトランペット・ヴォランタリーが重なってくる仕掛け。トッド・ラングレンプロデュースのスティーヴ・ヒレッジがLでカヴァーしているのでほとんど同じものが聴けます。これはプロコル・ハルムのShe Wandered Through The Garden Fenceのサビ後にも見つかるし、英国人にはよほどなじみ深いフレーズなのだろう。プログレではないが後年オルタナバンドのチャンバワンバがタブサンピングで巧いことキャッチーに融合させヒットにつなげている。プロコルと言えば、無視できないのが青い影におけるマシュー・フィッシャーのオルガンとJSバッハの一連の名曲フレーズとの融和。よくG線上のアリアが有力と聞くので、なるほど確かにそうだと思うが、もう一つカンタータ第140番目覚めよと呼ぶ声あり 第4曲 コラール シオンは物見らの歌うの聞けり(テノール独唱)に如実に表れていることも見逃せない。

 

ロックとクラシックの垣根を行き来しながら活動する優れた演奏家をあえて一人挙げてみると、オランダのギタリストでフォーカスのメンバーだったヤン・アッカーマンが浮かぶ。非常に技量のある演奏家なのだが、よく言うアーティストというよりヴィルトゥオーゾとしての評価が高い人なのではないだろうか。自分は彼の奏でるリュートにとりわけ関心が深いのだが、【流浪の神殿】などは残念ながらフォーカスのファンからはあまり(というか全く)注目されていない。その後のアッカーマンも色々行き来するうちにフュージョンの人になってしまったのかなあと思われることも。しかし優れた演奏家であることは間違いないです。