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文藝春秋 5月号 令和3年

一年が過ぎた。安倍政権が菅政権に変わり、イタリア在住の塩野七生は新型コロナウィルスのワクチン接種を受けた。女史が依然として元気でおられると記事で知り(但し3月の寄稿)ファンである自分はひとまず安堵している。

藤原正彦による故安野光雅への追想も読んでいて温かな気持ちに。

 

ところで今号の目玉記事は菅首相と家族に強い反射光を当てたものらしい。

執筆者は森功、安倍政権における官房長官当時から菅義偉とその周辺に鋭い眼差しを投げかけているノンフィクションライターである。彼の著書『総理の影・菅義偉の正体』が菅首相誕生後に売れ行きを伸ばしているのを書店ごとに見せつけられ何となく気にはしていた。自分はのんびりと図書館で借りようとしたら先約が40名もいて、この計算だと今年中に回って来そうになく未読のまま。

そんなわけで【菅義偉「ファミリー」の研究】が特集記事として気軽に読める文藝春秋に感謝。

政治関係の記事は気力と体力の十分な時に熟読しようと取っておく。おそらく巷のニュース以上に首相とその家族に対する冷徹さに満ちた記述なのかも知れないが、謎多き黒子がなぜ一国の首相になったのかを単に知りたくもあり、その参考までに。

 

重いテーマだけでなく、旅情誘う美しい風景の写真やユーモアいっぱいの論客のエッセーもふんだんに。硬派なんだけど、どの頁から読んでも構わない気取らなさがある。