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なんか違和感 

新・美の巨人たち 【日生劇場】 

 

案内役の南果歩が煩わしい、もったいない回ではあったものの、見るべきところは多く自分の曖昧な記憶をたどりつつも面白かったので、しばらくぶりにテレビ番組の雑感と小さな思い出でも残そうとここへ来たというわけ。

じつは自分、一度だけこの劇場で芝居を観たことがある。その時はなんと狭いところなんだろう。まるでコクーンの中に入るような感覚があった。

その時の演目は手塚治虫の【火の鳥】で岡本健一と赤坂晃が出演する音楽劇だったと記憶している。そんな自分にとって、番組内で建物の躯体から細かな内部装飾まで紹介されるのは有難いこと。おそらくもうこの劇場に足を運ぶことはないだろうし。

村野藤吾の作品。番組内では時の大建築家丹下健三氏とのライヴァル関係に懊悩する彼の姿をとらえつつも、漫画『ブラック・ジャック』に登場する【梅田換気塔】も併せて取材されてあった。これについては作中「アリの足」を読んでいただけると有難いです。ともかく村野氏の人物像に肉薄しようという段になって案内役の南果歩がホワンと現れるので興を削がれるのが何とも残念。この番組って前からこんな感じだったっけ?と違和感が拭えないまま30分が過ぎた。


放映からかなりの月日が経っての記述なので、色々と思い違いも少なかろうと、美術通のご意見を伺ってみた。すると【美の巨人たち】から【新美の巨人たち】へと番組改編(というか改変)されたのが一昨年のことらしく、その頃から『むしろ改悪』との悪評がのぼっていたようである。それで気づいたのが(今頃なんですが)あの【絵画警察】(BGM は非情のライセンス!)や【モデュロール兄弟】(シュール過ぎるがそれが彼らの良さ)が一切登場しなくなったという。それはつまらないな~あの箸休め的なミニドラマがいいのにね。

それとナレーションの小林薫の降板も視聴者を落胆させただろうし。そんな訳で【日生劇場】の回にそれなりの違和感を持ったのは道理で残念である。

因みに【新美の巨人たち】は【にいみの巨人たち】と誤読しがちで、新美南吉をいつも想像してしまうので新と美の間に点を打ったほうがよいと思った。