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危機

危機 by イエス

 

新型コロナウイルスの猛威を最小限にくい止めるために、日本全国津々浦々ガードを固めている模様。

そんな中、西洋の電子音楽的技巧と英国人の会得した東洋思想の粋を集めたアルバム『危機』

原題はClose To The Edge

 

前回が『暗黒の世界』で今回が『危機』となると、いよいよもってお先真っ暗なのかなと思われそうですが、全く違うのです。何かがゆっくりと変わってゆく、そんな予感があります。

崩壊の後の再建というと大げさですが、小さな動きはやがて大きく革新的なものへと・・・

 

 A面 

① Close To The Edge(危機)

 

B面

① And You And I (同志)

② Siberian Khatru (シベリアン・カートゥル)

なんとまさかの3曲に、知らない人は間違いなくたじろぐので予め述べておきたいです。

邦題が物々しいので、高い壁のように思えるかも知れずとっつきにくいのは分かる。でもまず聴いて欲しい。見る前に飛べの心意気で。

A面まるまる使っての1曲目には 着実な変革/全体保持/盛衰/人の四季

とパートごとにサブタイトルが付けられて組曲仕立て。しかし細かいことは気にしないで聴いてみるのが一番いいと思います。歌詩も抽象的にして難解というか、最近のイエス研究では詩は論理的に破綻しているものもあるようなので無理に理解しないほうが良いです。当時苦労された対訳担当者には申し訳ないですが・・・

B面の② オープニングの抗いがたい浮遊感。空中散歩をしながらも背筋はぴしっとせねば。長いことシベリアン・カートゥルという謎めいた言葉に悩んでいたところ、数年前ストンと納得のいく訳詩をWEB上で見つけました(32年目にして)SilverSack様に改めて御礼を申し上げます。その名訳の白眉をご紹介しつつ本日はこれまでと致します。

『頂点を目指そうとしても人々の心がバラバラだと 朽ちる事のない金の爪にさえひびが入ってしまう』